新潟大学は1949年に設置された国立大学です。本州日本海側最大の国立大学として、10学部・5研究科に加えて脳研究所、災害・復興科学研究所の附置研究所、および附属学校園を擁し、新潟市郊外と市中心部に2つのキャンパスを展開しています。
学内では、約700名もの事務職員の方が、総務、財務、学務、病院などの多岐にわたる管理運営業務を担っています。
大学という組織の性質上、従来は手書きや手作業などのアナログ的な仕事がどうしても多く発生しがちな傾向にあり、また、デジタルへの移行も難しい状況にありました。
しかし、コロナ禍に伴い、大学事務の現場にもDXの波がやってきます。
各部署に散在する非合理的な業務を減らし、組織全体にデータベース思考と業務改善を浸透させるためのパートナーとして、すごい改善をご利用いただきました。
今回は新潟大学学術情報部情報企画課係長の西山様(写真右)と、同じく財務部財務管理課主任の寒川様(写真左)に、一連の取り組みについてのお話を伺いました。
やってくるDX。この機会にデータの利活用を見直したい
ー初めに、西山様たちが普段ご担当されている業務を教えてください。
西山:学術情報部情報企画課の係長をしております。
情報企画課という部署は、大学の事務職員の事務用端末(PC)をはじめとした業務インフラ全般を管理している部署です。例えば、700名の事務職員のほとんどが使っている同一機種のPCと、それらに入っているゼロクライアントシステムなどですね。
数年前までは、その管理運営が主な業務だったんですが、コロナ禍に伴い、DXを推進せよということになりまして、それに掛かる業務も担当しています。
寒川:私は財務部財務管理課の収入係に所属しています。担当業務としましては、授業料や入学料などの債権管理、その他の入金の管理などです。
西山:私も寒川も、本業の部署の他に、業務改善推進作業部会という部局をまたいだバーチャル組織にも所属しており、自身の業務も含め、周りの方の業務改善・改革を支援する活動も行っています。
ーオンラインセミナー発注当時の大学内の状況をご紹介いただいても良いでしょうか。
西山:直接のきっかけはコロナ禍でした。前述のとおり、大学として業務改善・改革を推進せよと当時の事務方のトップ、担当理事から指示が出まして。
ただ、その前からアナログ的な仕事をどうにかしたいと考えている職員は若手・ベテラン問わずいましたので、ある意味ではいいきっかけになったと思っています。
目標は、「Excelをただのメモ帳にしない組織」
ー当時課題として意識されていたこと、目標として見据えていらしたことを教えてください。
西山:データの利活用ができていないのが一番大きな課題だと感じていました。事務職員であれば、Excelぐらい基礎はできるだろうと思われがちですが、恥ずかしながら個人ごとにレベル差が結構ある状態でした。
全ての事務職員がExcelの達人になる必要はないけれど、お互いの共通言語にはしたいなと当初から考えていました。
常にデータベースを意識して、Excelをただのメモ帳みたいに使わない組織。きちんと表計算アプリとして分析や集計に活用できるようになる。当たり前のことかもしれませんが、まずはこれを目指していたところでした。
学習者に優しく、大学のお財布にも優しいセミナーとの出会い
ーすごい改善と出会った経緯を教えてください。
西山:吉田さんを知ったきっかけはTwitterでした。何とかならないかなとずっと考えていた時に、Twitterで拝見して興味を持ちました。
すぐ大学生協で本を購入し、これは素晴らしい考え方だなと思って、さっそく対面セミナー(東京開催)を受講したんです。2年ほど前のことでした。
東京で2回受講させてもらって、あぁ、これは本学に必要だな……と確信しまして、当時の担当理事に、『やるだけの価値があります、お金を出してください』とプレゼンに行ったんです。
その結果、無事に必要性を認めていただき、「よし、やろう」となりまして、一昨年から全事務職員に展開しております。
寒川:ここまで聞いただけでも、西山さんがいかにフットワークが軽いかがわかっていただけるかと思います。
西山:でも大学職員でフッ軽なのって貴重だと思いません?
寒川:そうですね(笑)
ー事務職員全体に導入するためのプレゼンの前に、西山様だけで2回対面セミナーに参加されたのでしょうか?
西山 はい。プレゼンの前に、必ず成果が出るという確信を持ちたかったので。Excel講座とマクロ講座で10万円かかったんですが、それでも行かなきゃなという思いで参加しました。期待を超える、素晴らしい内容でした。
セミナーに実際に参加してからプレゼンに臨んだおかげで、本当に必要だから提案している、と自信を持って話すことができました。
ーそのプレゼンの結果、事務職員全体での受講が決まったのですか?
西山:そうです。初年度は手挙げ式の自主参加にも関わらず、200名ほどがオンラインセミナーを受講しました。初年度から人数制限なしで募集しちゃうのが本学の本当に良いところであり自慢したいのですが、とはいえ想定をはるかに超える申込人数でした。2年目の今年度も多くの方が受講を希望しています。初回から1年経過し、他の業務を経験してから再度受講することで、新たな気づきなども期待できると思います。
ーTwiterをきっかけに本を購入したということですが、当時他に購入された本や受講を検討されたセミナーはありましたか?
西山:新潟市内でも、Excelのセミナーはオンライン・対面問わず開催されていますが、結構高いんですよ。例えば対面セミナー2ヶ月20時間で10万円とか。
値段もそうですけど、対面開催の場合は都度、何度も現地に行かないといけないのが厳しいですね。勤務時間中に20時間を捻出するというのも、やはり皆さん忙しいので難しいです。
本もいくつか購入しましたが、どちらかといえば資格取得を目指したものが多くて。そんな中、すごい改善の本は、とにかくすぐに実務・実践・実戦で活かせてモチベーションが上がるんです。学びが目の前のPCですぐに使える。知識がそのまま筋肉になる。素晴らしいです。
ーやはり他のセミナーは受講料金がもっと高いようですね。すごい改善の「5万円」という対面セミナーの金額については、どうお感じになられましたか?
西山:正直、安すぎると感じたくらいです。1日で完結するというのも良いですね。
真面目な話、5万円くらいすぐにペイできると思いますよ。
ーすごい改善の対面セミナーを受講されて、特に良いと感じた箇所はどのようなところでしたか?
西山:良いなと思ったのは、サポートする人が何名か周りに付いてくださっていて、すぐ質問できるところです。人数だけではなくて、質問しやすい雰囲気作りも上手だなと感じました。ついていけずに置いていかれることがないという、安心感がありました。
復習用のデータもすぐ送っていただきましたし、対面セミナーを受講すると後からオンライン版もずっと見させていただけるんです。メールでの質疑応答が無制限なのもすごい。すごい改善すごい。
なぜアフターサポートが有料ではないのか、疑問に感じるほどでした。
ーすごい改善の対面セミナー受講当時の西山様の様子で、印象に残っていることはありますか?
寒川:すごく興奮した様子でした。とんでもなくタメになるExcelセミナーがある、と。今度オンラインセミナーの受講者を学内で募集するから、必ず受けてほしいと言われました。普段は穏やかな方なので、尋常じゃない様子にびっくりしたことを覚えています。ちょっと落ち着いて、と(笑)
ー事務方のトップにプレゼンするにあたり、気を使われた箇所はありますか?
西山:具体的に喋ることを心がけました。
私はいま情報系の部署におりますが、前は財務、その前は人事で、さらに前は外部資金の受け入れなどを担当する部署にいました。
大学の事務職員はいろんな部署を回るので、どの部署に合理的ではない業務、Excelを活用できれば改善できる業務があるのかをある程度イメージできるんです。なので、具体的な業務を挙げて、プレゼンに持っていきました。
地方大学で光った、オンラインセミナーの利便性
ー対面のセミナーではなく、オンラインセミナーを選択された理由はどのようなものでしたか?
西山:まず必要な時間の問題ですね。前述のとおり皆さん多忙です。でもオンラインなら自身のデスクで視聴可能ですし、最大1.75倍までの早回しで受講できるというのもすごく良かったです。充分聞き取れました。早く見たい、同じ場所をもう一度聞き直したい、ゆっくり聞きたい、何回も聞きたい。どの需要も満たせたというのも良いですね。
受講者の年齢層も広く、新卒で20歳ぐらいの方もいれば、上は定年目前の方までいます。多種多様な事務職員それぞれに柔軟に対応できている。
また、移動や距離面のメリットも大きかったです。地方大学なので、近くでセミナーが開催される……となっても、近いと言ってもそんなに近くない場合が多いんです。車で行く必要があったりします。移動や距離の問題で参加を断念する研修などもありますから、やっぱりオンラインセミナーはありがたいです。
ーご自身が受講されて感じた、オンラインセミナーならではの利点はありましたか?
西山:寒川も私も小さい子供がいて、残業もなかなかできない状況です。オンラインセミナーであれば自宅や、ちょっとしたスキマ時間にスマホでも見られるのは大変助かりました。各チャプターが短時間で構成されているから、見る気になるんですよね。事後アンケートでも、この点を評価されている受講者が多かったです。
寒川:部局や業務によって繁忙期も異なりますもんね。それぞれの職員がスキマ時間を無駄なく有効活用していました!
手書きと手入力を繰り返していたシステム間データ連携を改善するまで
ー今回、大きく改善されたのはどのような業務でしたか?
西山:Excelのレベルアップだけにとどまらず、データベース思考を浸透させられたのが一番の改善かと思います。
本学に限らず、システムからデータをCSVで吐き出して、別のシステムに取り込む、みたいな作業って結構あるじゃないですか。例えば、人事のシステムから吐き出して財務のシステムに取り込むみたいな。
CSV出力の機能はあるけれど、でも開発した会社が違うからデータのレイアウトに整合性がないんですよ。データ連携用のレイアウトじゃない。つまり取り込み用のCSVを作らなきゃいけない。もしくは、CSVがあまりにも複雑だからと手入力で対応していたり。
財務、人事、学務、病院…… どこの部署にもそういった作業は本当にたくさんあって。煽りでなく、大学職員って良くも悪くも真面目ですから、そういうのを労力や時間で何とかやってしまう方も多いんです。しかし集計や分析の知識があれば、連携用のデータがサクッと作れるようになります。これは大きいですよね。作業が一瞬で終わるようになるわけですから。
寒川:もうひとつは、スタートが手書きのパターンです。手書きの書類を受け取って、手入力でExcelデータにして、それをまた手入力でシステムに入力して……みたいな作業を実際にやっているんですよ。最初の手書きをやめることが必須なので、MicrosoftのFormsなどに移行させて改善しようとしたんですが、結局データはExcelで蓄積されていきますよね。
Excelの利活用を学ぶことで、そもそもどうやってFormsでデータを集めれば、その後の集計や分析がしやすいか?という観点で、業務フローを考えられるようになります。まさにデータベースファーストの考え方ですね。Excelを起点として、Formsや他のアプリの活用にまで繋げて、業務フロー全体を俯瞰する視点を持てるようになる。単なるExcelの知識獲得だけにとどまらないのがすごいと思いました。
ー寒川様、現場の実務担当者としての感想を詳しく伺えますか?
寒川:私が一番印象に残っているのはセミナー序盤、経営の観点からExcelの活用を考えるところです。「企業はこれだけ収入があって、その分これだけ費用かかっていて、儲けの部分はここ、それも費用の内訳は人件費だとか、物品費だとか細かく分かれていて、それらを集計して経営者や外部に示すために、Excelデータを作らないといけないんだよ」という説明があったことです。
私は財務系の人間なのでこの説明はスッと理解できましたし、財務系ではない職員にも理解してほしいと常々思っていましたので、「何のためにExcelを使うのか」という点をズバリ言ってくださったことに感動したことを覚えています。
ですので、すごい改善のセミナーでは個別の関数とかももちろん勉強になったんですが、やっぱり一番は最初の考え方、データベースファーストで、経営的観点を持ってExcelを使いましょう、という話に感銘を受けました。
ーExcelにまつわる色々なお悩みがあったと思いますが、具体的な例をお教えください。
寒川:はい。一例ですが、ある学部で入学者や入学辞退者のデータを作成したものを私に提出いただいたことがありました。
その中の入学辞退した学生のデータの行に、なんとExcelの「図形の線」を使って取り消し線が引かれていた、ということがありました。初めて見た時は私もびっくりしたんですが……。
ただ、データを作成した職員も、悪気があってやっている訳じゃなくて、知らないからそういうことをやってしまうんですよね。そのデータを作った職員も、このExcelセミナーの中で「ダメなデータの実例」などに触れたことで、「あっ、これは間違いだったんだ、よくなかったんだ」ということを、私が指摘するまでもなく理解してくれたのが本当に嬉しかったですね。
西山:こういうことって寒川さんから相手に指摘すると、カドが立ってしまうこともありますもんね。セミナーで悪い例を、その理由とともにハッキリと言ってくださったのは我々にとっても助かりました。
寒川:そうなんです。検定料の確認についてもそうです。
以前は各学部の担当者から志願者のデータを個別に出してもらい、それを私の方で一つのデータにまとめて、銀行の入金データと突合して、志願者の検定料納入状況を確認していましたが、これが手作業が多く、負担に感じていました。
セミナー受講後に、「その後の集計やシステム登録処理まで見据えたうえで、もっと良い業務フローにできるのではないか?」と考え、私が最初に整理番号・振込名義・入金額のデータを綺麗に整えて台帳化し、各学部の人はそれを見て自分の担当分だけ入力する、とやり方を変えたんですよね。
それでやってくれるようになったのは、すごい改善のデータベースファーストの意識が広まったからだと思います。部局の職員も業務フローを変えることについて概ねポジティブでしたし、結果として私も学部担当者もお互い楽になったと思います。
西山:そもそもですが、本来、業務システムってすべての業務が一つのワンパッケージで済んでいればそれが一番ですよね。データの連携なんかする必要ないわけですから。でも現実はそうではない。部署も違う、業務システムも違うってなってくると、結局はそのシステム同士を誰かがデータで繋ぐ必要があって、そこでCSVとかExcelが必要になる。
直接システム同士を繋いでもらうように改修しようとすると納期は6ヶ月でXXXX万円かかります、みたいな莫大な見積もりが出てきちゃう。払えませんよね……
その繋ぎの部分を円滑にするには、お互いがきちんとデータベースとして認識することが必須なんですが、まさにその部分が改善されているなと感じます。
ーデータベース思考が浸透している実感はありますか?
西山:ありますね。前述のとおり、ただExcelのレベルが上がって終わりでなくて。受講した各自が考え、目の前の仕事を変化させています。例えば利活用可能なデータだからクラウド上に置いておこうとか、このデータレイアウトなら業務フローを変えればより効率化に繋がるな、とか。職員全体の考え方が変わったことで、たくさんの閃きが生まれています。
事務職員の働き方、それこそ文化そのものが変わってきているなという実感があります。
Excelオンラインセミナーが「今まで通りでいいじゃん」の文化を変えた
ー導入後の一番大きな成果はどのようなものでしたか?
寒川:業務のやり方を変えることに対して、このオンラインセミナーを導入する前は、「えーなんで変えるの? 別に支障ないし、今まで通りでいいじゃん」という人が大多数だったと思います。変えるのって面倒ですしね。
でも、セミナーを受講したことで空気が変わりました。
データベース思考とか、いかに効率よく仕事をこなすかっていうことが頭の中に入ってきた結果、「こうやりたいです」「効率良くなります」って説明すると、ちゃんと「分かったよ」って理解してくれる方が大多数になったんですよね。
そういう環境・風土を作るという面でも、このオンラインセミナーは一役買ってくれました。
ーすごい改善すごい。
西山:「これもっと楽に正確にやれる方法あるだろ……やり方はわからんけどできる気がする」みたいな。自分で改善策が思い浮かばなくても、「何とかならないですかね?」とこちらに相談してくれたり、そういうきっかけにもなっていると思います。
がんばって作業する前に、まずは楽な方法がないかな?と考えてみる。早く正確に作業が終われば、生まれた時間を教員や学生の支援に充てることが可能です。せっかくがんばって働くなら、本来自分がやりたかった業務、やるべき業務のために時間を使いたいですよね。
ちなみに私は「単純にめんどくさいから早く終わらせたい」という考え方も同じくらい素敵だと思っています。
寒川:私の改善の動機は99%それですね(笑)
ー学内の他の事務職員の方々の雰囲気など変化はありましたか?
西山:我々はなるべく楽しく働くがモットーです。好事例を動画などでも発信しているのですが、色々な方が声をかけてくれるようになりました。「この仕事をもうちょっと楽にしたいんです」とか、「YouTube見ましたよ!」とか。あとは、何か新しいイベントなどをやろうとするときに我々から声かけた際も「おっ、またなんか楽しそうなことやるのかな、面白そうだな」というリアクションで協力してくれる方が増えてきていて、こういう部分でも、大学全体の空気が少しずつ変化していると感じます。
寒川:好リアクションって我々の活動のモチベーションに直結するんですよ。興味もっていただけるとめちゃくちゃ嬉しいですね!
西山:我々としても、せっかくなら前向きな方とやれると嬉しいですしね。お互い幸せです。
他大学に広がる業務改善の輪
ーExcelセミナーに興味を示されている大学は多いのでしょうか?
西山:いつも情報交換などで交流させてもらっている長岡技術科学大学、岩手大学には以前ご紹介しており、すでに導入されているそうです。実は我々、大学の事務効率化に関する講演の機会をいただくことも結構ありまして。多くの講演でこのExcelセミナーをご紹介しているのですが、「本当のところ、どうなんですか?」というメールが届いたりします。いや本当に良いんですって(笑)
寒川:オフィシャルで言えない本音があるんじゃないかと疑われる(笑)まあ私も最初は疑っていたので他人事ではありませんが……。
西山:国立の大学同士の繋がりが多いですが、国公私立を問わずいろいろな大学から質問が来ますし、おそらく吉田さんにも繋がっているケースも結構あるのかなと思っております。もしそうなら嬉しいです。
寒川:良いものはどんどん他大学にも使ってほしいですもんね! 自信を持ってオススメできるセミナーなので。
「上手に楽しく働ける職場」を目指して
ー受講された方の感想で、印象に残っているものはありますか。
西山:まず、感想の長さです。参加された方達の熱意を感じました。
普段の研修とかだとあんまり事後アンケートって熱心に書かなくないですか? このセミナーの場合、文章を書いてくれる方が多かったです。ちゃんとお礼とか、具体的にここがすごく良かったですとか、自分の言葉で書いてくれているんです。
特に「採用時研修で受講したかった」という感想が多数ありました。また、若い人から年齢が上の人まで幅広い年齢層の方から「職員全員が受講すべき」という感想も多くいただきました。
今まで独学や、その場しのぎで検索してExcelの関数を使っていた方も多かったと思うんですけど、本当に正しいかって不安じゃないですか。それを矯正できました、という感想も多かったです。
寒川:「講師がダメな例を何でダメなのか具体的に示してくれるのが良かった」という感想もありました。
例えば、我々がセルの結合はしないようにと言ってもあまり効果が無いんですよ。「なんで?」って言われちゃって。説明しても、「でも便利だし……」で負けてしまうケースが多かったです。
我々がしつこく言っても嫌われるだけなので、第三者、それもプロ中のプロが言ってくださるのがすごく助かりました。セルの結合をしていた本人もですが、そのデータを使用する業務フローに関わる事務職員全員が救われたはずです。
ー今、すごい改善が法人や学校向けにExcel業務を丸ごと委託するサービスを提供しているのですが、ご存知ですか?
西山:はい、知っています。先ほどもお話しましたが、本学では財務や人事、学務などのシステムはあるものの、まだまだその前後の処理ではExcel作業がメインなのも事実です。煩雑なExcel作業に時間を吸われている部署はたくさんあります。
寒川:忙しすぎて自力で改善する余裕がない部署にこそ、最適なサービスですよね。「この超過勤務続きの状況をなんとかしたいけど、とにかく業務量が多すぎて改善まで手が回らない…」という声は、しばしば現場から聞こえてきます……
西山:我々に限らず協力してくれる人、熱意のある人が潰れちゃうっていうのは本当に避けたいと思っていて。なかなか100%に戻らないですから。せっかく一生懸命に働くのなら、より大学、そしてもちろん本人にもメリットのある業務にその熱を注げる環境を構築したい。どうせ働くなら、上手に、そして楽しく働いてほしいです。その方がより成果が出ると思っています。
ー今後、すごい改善に期待されるサービスはどのようなものでしょうか?
西山:先ほども触れましたが、そして自分達から言うのもなんですが、大学職員は多忙で、一生懸命働いています。その中でも、特にExcelの集計や分析が活きるのは財務・会計系の業務だと思うんです。扱うデータは数字がメインですし。決算担当の方々は、決算期は本当に大変そうで……。
寒川:財務会計システムを使っていますが、最終的にはExcelが必須となります。システムからCSVを吐き出す際も、「ここに1列項目が追加されて出てくるとすごく便利なんだけどな」というのがあったとしても、改修するのにお金や時間が膨大にかかるんです。
総勘定元帳のCSVに借方貸方の項目がある一方、差し引きの列がデフォルトで出力されないから、毎回CSVに列を挿入して引き算して……という作業が発生しています。
西山:システム改修にお金をかけずにどこまでExcelで業務を楽にできるか?というのは模索してきたところですが、まだまだ改善の余地は残っています。
それに、そもそもExcelがベストなパターンも多いですよね。楽で正確なら何でもいいんです。
適材適所で手段を選べるようになることが、重要なんだと思います。
ここまでたどり着いて思うこと。そしてこれから
寒川:かつては定型的な作業を淡々とこなすことが事務職員の役割と考えられていましたが、今は求められる能力が変わってきています。現状維持のために働く時代は終わり、大学をより良い状態に進めるための創意工夫が必要となってきています。そのために、手作業はできるだけ省力化し、大学経営に資するデータ集計・分析にエフォートを割く。
ただ、それは財務情報だけに限定されません。例えば入試担当であれば、志願者の動向を分析し、学生募集のやり方を検討することができます。採用関係の業務で合理化が進めば、優秀な人材をリクルートするための時間を増やしたり、早期離職を防ぐための支援をさらに拡充したりすることが可能になります。
こういった活動に必須の基盤的技術としてExcelを身に着けるということはもちろんですが、すごい改善のセミナーでは、事務職員の働くことに対する意識改革にも良い影響があるのではないかと期待しています。
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