株式会社ミカランセは、1988年創業の女性向けフィットネスウェアメーカーです。製造から販売までを一貫して行い、かわいらしさとセクシーさと健康美に溢れた高い商品力で、エアロビクスインストラクターを中心に幅広い年代からの支持を集め続けている企業です。
そんな株式会社ミカランセでは、今後の更なる発展を目指し、2017年には創業以来社を率いてきた創業オーナー社長からのオーナーチェンジが発生。それに伴う従来業務の見直し・改善が日々行われています。
その中で課題として立ちはだかったのが、多品種少量生産ならではの悩みとも言える膨大な商品点数の管理と、長年使用され続けてきた複雑なExcelというハードルでした。
そこで、「変化を嫌う企業から、面倒とヒューマンエラーを減らしていく企業へ変革する」ためのパートナーとしてすごい改善を選んでいただきました。
今回は、今までのプロジェクトを振り返り、株式会社ミカランセ 代表取締役の清徳隆様にご感想を伺いました。
(インタビュー・文:黒須敏行/マーケティングアドバイザー)
創業36年、デザイン力で人気のフィットネスウェアメーカーが改善に取り組むまで
黒須:まず初めに、事業内容を簡単にご説明いただいてもいいでしょうか?
清徳:弊社は創業してちょうど36年目の女性向けのフィットネスウェアメーカーですが、2017年にオーナーチェンジがあり、私が代表取締役をさせていただいています。
創業者は、もともとエアロビクスのインストラクターをされていた女性です。創業の頃は日本で映画「フラッシュダンス」がヒットした影響でエアロビクスブームがあって、非常にエアロビクス業界そのものが現在以上に活発な時期でした。そして、インストラクターとして活躍する中で、当時日本には無かった女性がかっこよく目立つエアロビクスのウェアが欲しいと思ったそうです。
最初は海外から個人輸入をしていたのですが、創業者のお母様がパタンナー、デザイナーでもあったので、自作して教室で着ていたところ、同じインストラクター仲間や、生徒さんに、これいいよねと言われて、本格的な販売へ、というところが元々のスタートです。
それからどんどんデザインは進化していて、現在では「かわいらしさとセクシーさと健康美」3つを兼ね備えたワンランク上のフィットネスウェアを販売しています。
まず、セクシーさというのはどういうことかというと、女性のボディラインを綺麗に見せる形であること。
次にかわいらしさっていうのは、オリジナルのテキスタイル(生地の柄)であったりとか、スワロフスキーラインストーンが散りばめてあったりだとか、そういうのがかわいらしさです。
そして最後に健康美、フィットネスウェアとして求められる機能性も大切にしています。
それに加えて、大阪の派手さと東京のエレガントさを兼ね備えたデザインも魅力の一貫だと思います。
現在ではたくさんのメーカー、それこそ大手のナイキさんとかアディダスさん、プーマさんでも女性向けフィットネスウェアというのは作られていますが、それらの商品と比べても女性のボディーラインを綺麗に見せるパターンには特にこだわっています。
「女性の悩み全てに応える永遠のパターンがある」という評価をいただくこともあります!
黒須:改善前、業務での悩みとしてはどのようなことがありましたか?
清徳:先ほどお話した、「デザイン、パターンへのこだわり」というところにも繋がってくるんですが、とにかく少量多品種生産でやっているので、生産管理が大変という問題がありました。
長年ブランドをやっていく中で、ずっと愛用してくださるユーザーさんが増えると、それだけ幅広い年代に対応した商品というのが必要になってくるのもあって、最近は特にアイテム数が増え続けています。
もちろん、みなさん現役のインストラクターさんなので年齢を重ねられてもスタイルは良いのですが、やはり年齢に応じた悩みというのは出てきますよね。そうした悩みを解決するウェアが欲しい!というユーザーの声に答えると、どうしても増えてしまいました。今ではだいたい大手のスポーツウェアメーカーさんの4倍くらいのアイテム数を扱っていると思います。
しかも、うちではそれをExcelで全て管理していたんです。そのデータの管理が大変で大変で。
黒須:アイテム数が増えたのは、6年前の2017年に経営権が変わったタイミングで増えた形でしょうか?
清徳:いえ、それより前、15年ぐらい前からですね。なので蓄積されたデータの量も膨大でした。
歴史のたっぷり詰まった難解エクセルに新人社員が泣いた日
黒須:業務改善をすごい改善に相談しようと思ったきっかけは、どのようなことでしたか?
清徳:先ほども申し上げたように、商品のデータや顧客管理のデータは、ほぼ創業以来35年にわたってExcelで管理していて、そのデータがそこそこ溜まっていたんですね。
でも、そのExcelの管理がすごく属人的になってしまっていました。
今、その担当者はすでに退職しているんですが、やはり職歴が長くて、10年20年30年と勤続していると、だいたいスキルがその分野でつくので、そのスキルで優秀だと判断して、その仕事を長く任されることになりやすいですよね。
要するに、変化を全く好まなかった会社なんです。
でも、創業者から私にバトンタッチしたタイミングで変えていこうということで、その属人化したExcelを管理する人を新しく1人迎えました。
しかし・・・・・・
なんとその方が、Excelファイルが難解すぎて、「できると思っていたのに、こんなにExcelができないなんて」と泣き出して、投げ出してしまったんです。女性の、20代半ばぐらいの方だったのですが、もう悩みに悩んで頭を抱えてしまっているような状態で。
私も採用の時の見通しが甘かったと反省しています。「Excelできますか?」とだけ聞いて、「大丈夫です大丈夫です」と言われてしまったので大丈夫だと思って採用したのですが、Excelファイルが私たちの予想を超えた複雑さになってしまっていたようです。
黒須:そんなに複雑なExcelだったんですか?
清徳:私も当時は正直聞いたことなかったんですけど、Exact関数という関数がたくさん使われていたみたいです。
吉田さんにも、こんなのVLOOKUPでやっちゃえばいいのにみたいな感じに言われたんですけど、どうもそのExcelを作った社員はVLOOKUPを知らなかったんじゃないかと思います。
知らなかったけど、知らないなりに工夫して普通では使わないような関数の使い方をして、その結果複雑になってしまっていたんですね。
だから、新しく入った社員が自信喪失になっちゃったんじゃないかと思います。
会社の代表だったりトップであったりすれば、こんなの使ってんの?というのを普通に言えばいいんですけども。入社したばかりの20代半ば過ぎくらいにだと、これ勉強した方がいいよみたいな感じでガーンと言われるとなると、自信なくしちゃいますよね。
スムーズだったすごい改善の導入
黒須:すごい改善さんと知り合ったきっかけを教えてください。
清徳:会社でお世話になっていた社労士さんからのご紹介でした。
去年(2022年)の1月か、その前の年の12月頃だったと思います。商品データと顧客管理のExcelで苦労しているという話をした時に、それなら、ということでご紹介いただきました。その社労士さんのことは非常に信頼していましたし、私は紹介いただいた方は100%信じるタイプなので、最初からすごい改善さんのこともかなり信頼していました。
当時はちょうどコロナが真っ最中の頃だったので、最初はZOOMでオンラインでご相談させていただきました。
黒須:その時の印象を教えてください。
僕から見ると、今と全く変わらないですね!改善したい箇所を説明した時に、「3秒で終わります」と言っていただけて気持ち良かったです。「ちょっと見て見ないとわからないですけど、それだったら十分できると思います」と言っていただけたのがとても心強かったです。
黒須:最初、業務について吉田さんに説明する際は、実際にオフィスに行って観察するような形でしたか?
清徳:いえ、ZOOMでのオンラインで全部やり取りしていただいています。実際に業務で使っている生のデータを見ていただいて、社内でどう生のデータから加工しているのかをご説明させていただきました。
私からすると、その加工のところですごい面倒臭いことをしていたり、ヒューマンエラーを起こしやすいようなやり方をしていると思っている箇所があったので、そういった箇所についても吉田さんに相談しています。
そうやって相談していって、去年で一段落したかと思ったら、また色々と出てきているのが現状ですね。
めんどくさい作業はありませんか?それ、改善のチャンスです!
清徳:最近では、社員にも少しでも面倒くさいなと思うところがあれば、Excelで改善できるチャンスだから言ってくれと話すようにしています。
黒須:そうやって挙がってきた業務をすぐに吉田さんに相談して、吉田さんが「それはこういう形でやるのがいいですよね」っていうふうに業務を整理して提案して、改善していくっていうのが続いていますか?
清徳:はい。社員の中にもエクセルが比較的得意というか好きなものがいて、吉田さんに「ここまでよくやれてますね」みたいに言っていただける者も1人や2人いるんですけども、一般的にはやっぱりエクセル大好きって人があんまりいないので、だからやっぱり差が出ちゃうんですよね。
できる社員だけで集中してやると、その社員が休んだりだとか、転職してしまったりとかすると、業務スピードや業務のクオリティっていうのがガラッと変わってしまうんですよね。
私としては、一定レベルのところできちっと担保したいなという気持ちが強いので吉田さんの手を休めることがなかなかないですね。
今年ぐらいにはなんとか一段落して、とは思ってますけど。
ECチームと催事チームの業務量が半分以下に!
黒須:吉田さんに発注する前と今比べると、各種Excel業務の作業量はどういった状況になりましたか?
清徳:約半分以下です!私どもは10数名の小さい会社ながらも、チームというか部署っていうのが何個かにわかれてまして、その中のEC通販と催事チームの業務量は半分以下になりました。
通販事業は、吉田さんに関わって頂く前は4人ぐらいでやってる業務だったんですよ。それが今1人でも回るようになってます。1人だとその方が休みだとか、なんかなるとあれなのでもちろん、2人とか4人位でやってますけれども。
吉田さんのところに頼んだら、吉田さんのところに払う費用が増えるんじゃなくて、業務量も減ったり、作業が減ったりすると、業務のクオリティも上がって、人件費を結局抑えることができました。
黒須:それは大きく減りましたね!例えば、ここの業務とかここの作業が減ったとかって、何か思い当たるものってありますか。
清徳:もう全てが減ってるのですが、先ほど申し上げたようなところで言うと、私どもはやはり商品の数が多いっていうところがあるので、その関連の作業が減りましたね。年間800種類の商品を2年3年と作っていくとあっという間に1000超えてしまうので、それぞれの商品を何枚作るか・・・というのは手作業ではほぼ不可能です。
これが商品数が年間10個とかだったら、手作業でコピペしていってもあまり変わらなかったかもしれませんが。
黒須:清徳様が覚えているもので、社員の方とか作業していて、ヒューマンエラーがいかにも起こりそうなシーンで印象に残っているものはありますか。
清徳:いかに無駄な、というか売れない商品を作らないように管理していったりだとか、むしろ売れる商品を生み出したりっていうところですね。
売り上げで言ったら昔の方が多かったかもしれませんが、データを扱う量はもう日に日に増しています。BtoCリテールの商売でしたら、最近はどうしても皆さん目が肥えてたりとか、好みがうるさいような感じになってきたりしているので、データを扱う機会がものすごく増えています。
15年ぐらい前だと、新作って出すと4ヶ月ぐらい、プロパーでそのまま売れてたんですが。最近はもうそういう時代でもないですよね。プロパーで売れる期間というのがどんどん短くなってきています。
ただやっぱり商品が出来上がったばかりのところは、こればっかりは自分たちの社員であったり、自分たちでやらなくちゃいけないですね。だからそこだけ注意すればあとはうまく吉田さんのところにマクロやプログラミングを組んでもらって、やれればいいなとは思っています。
「Excel丸投げOKサービス」は「仕事を人質にとる社員」問題の改善になるか?
黒須:すごい改善が入った事で、社員の方から何か特徴的なコメントはありましたか?泣きだしてしまった社員の方など、何かおっしゃっていましたか?
清徳:こういうのは難しいですね。正直に言うと、泣いてた社員は自分がExcelのスキルがあると思って入社してくれて、今は残念ながら辞めて退職しちゃってるんですけど。
だから、吉田さんに入っていただいた時も、一旦はこれでっていうめどをつけていただいてから二、三ヶ月は、改善したなんて言わなかったです。「何にも変わらないです。」と言っていました。ところが、さらに同じようなチームのところに新しいメンバーが入ったりだとか、正直言うと退職するって決めたときなんかは、仕事量が今まで昔私達がやっていた頃の4割になりましたと。6割カットされたと。
「素直になれなくてごめんなさい」と言っていました。それだけすごかったんですよ。
でも、難しいですね。私たちのような小さな会社でも、代表だとか社長とかいう立場の中で、外部から吉田さんという人を連れてきたみたいになると、ちょっと面白くないと受け止める社員はどうしてもいます。
黒須:これまでの中で、吉田さんから気になるところとかもう少し知りたいっていうところってあったりしますか。
吉田:自分で言ってはなんですがExcel作業代行の部分の貢献も大きいと思っています。
今清徳さんにおっしゃっていただいたのは、社員さんがやる作業をマクロで自動化するっていうフェーズが1個あったんですけども。もう1個はなかなか完全自動化することが難しい作業が残っていて、そういった作業をこちらで巻き取ってきました。従来は作成が非常に大変で、それこそ3日4日かかって作っていらっしゃった資料があったんですけど、そちらを弊社の方に丸投げして頂くことで社員さんはその作業から完全に解放され、そして我々が資料をお届けできるのはご依頼からわずじか数分後です。
清徳:ありがとうございます。ちょっと乱暴な言い方をすると、会社によってはですけれども、例えばもう40代50代、場合によっては60代の社員しかいなくて、少し若返りを図りたい。
というようなときに、大体そういった40代50代60代の方はその業務に関するノウハウっていうのを持っています。
でも、そこをきちっとマニュアルにしたりだとか、業務がスムーズに動くような形に本当にしているかというと、やってないんですね。なぜかっていうと、自分たちの評価というのが、そのノウハウがあることなので。自分たちしか持っていなかったノウハウを、吉田さんが全部わかってしまうなんてことになったら、途端にもういらない人になっちゃうわけです。
だから、仕事を人質に取るっていうのが世の中多いんです。
私なんかは会社を変革させようとか成長させようとしているだけで、別に元からいた社員をクビにするとか、左遷するとかなんか一切考えていません。むしろ、今の時代に合った形で、いろんなことにチャレンジしてもらいたいなと思うんですけど、人ってやっぱり変わるのって、外野で言うのは簡単なんですけど、自分自身が変われと言われてもなかなか変われないじゃないですか。
変われない変わるのが嫌だってなると仕事を人質に取っちゃうんですよ。データを扱うところは特に人質に取られやすい。そうすると、一向に改善しなくなってしまう。
そこにすごい改善を入れると、長くいる方は何か自分の仕事をとられたような感じに思うので、退職に繋がることがあるのがもっかの悩みです。
会社としてはすごい業務がスリムになったりとか、新しい方を採用して、結果その方への引き継ぎがうまくいったりして、トータルで見れば改善はできてるんですけど、その辺の塩梅はまだ難しいところですね。
だからそこを誰かに引き継ぐということも結果的に嫌がるんですが、私からすると、そういったデータのところ中心ではありますけれども、吉田さんのところに100%全部っていうのはなかなか難しいにしても、すごく安心してお願いできるなと思っています。
今後の期待は「業務フローの教育担当者」
黒須:今後すごい改善さんに、これをやってほしいとかですね、これ相談したいって、今お話いくつかあったんですけども、思うようなキーワードとかトピックがあれば、ぜひ挙げてもらってもいいでしょうか?
清徳:うちの業務フローの教育担当者みたいな感じを期待しています。
データとか業務フローに関するところなど、知っていただいてるというところについては引き続きお願いしたいなと思ってますし、最終的には全部いろいろご相談できたらなとは思うんですけど。
黒須:もっとこう言うふうに業務をやるとよくなりますよっていうアイディアとかですかね。
清徳:それはもうたくさんあるんですけども、先ほど申し上げたようにうちの商品っていうのがやっぱり多いので、商品が多いことイコールデータが多いので、データが多かったりするとヒューマンエラーも起こりやすいので、改善したほうがいいかっていうのは、その人その人で感じ方が違うと思うんですよ。うん。私からすると1回吉田さんに見てもらったらいいなと思ってますけど。
だって、改善する余地がないと思ってる人がそういう目で見てると多分改善することないんですよ。だからトヨタ自動車クラスだって改善改善で、もう乾いた雑巾を絞ってるような感じでやると思うんで。
私から営業的なことを言うんであれば、さっき申し上げた商品のデータ数、商品数の多い企業だったら、同じ業務のところで10年、20年以上同じ人がデータ関係を扱ってたら間違いなく見てもらった方がいいよ。
その人たちが退職してしまったり、定年だったりで会社を去ることがどうしてもあり得ますよね。その時、半年とか1年前とかの直前にバタバタとやるんではなくて、3年〜5年ぐらいで、ゆるやかに今その人たちがしている業務を見える化して、データを扱うプロの吉田さんから見たフィードバックをもらって改善しておく必要があると思う。そうすることでヒューマンエラーもなくなっていきますから。
中小企業だと、業務が回っているのでなかなか改善まで考えたこともない社長が多いと思うんですけど、絶対に改善の余地はあるはずなので。
黒須:他に、お願いしたい業務はありますか?
清徳:成果物というか、要は提案資料だとか何かを作れるようになるためのセミナーがあると良いと思います。今の時代だと、別にコンサルファームとか戦略コンサルファームじゃなくても、ある程度求められるところになってきてるので、3年目〜5年目の自分のスキルチェックも兼ねて、そういうメニュー入れてくれたらありがたいですよね。
提案資料のまとめ方っていうの自体は本とかであるんですけど、でも実態としてデータはそれなりの人はみんな分析するんで自分で分析できるかどうかが肝だったりする。やっぱそれってエクセルがやっぱり活用するところがなんやかんや多いと思うんですよ。
本当に重要な提案をするときって、結構他の者に相談して自分で資料を作ろうとすると思うので、考えたり、何かスキルが高まってた方が間違いなくいいですね。それで、揺るぎないExcelスキルをお持ちの吉田さんのような方に出会ってるんだったら、外部にお任せした方がいいよねと思っています。