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【受講者様インタビュー】Excelはデータ集計だけじゃない! 事務効率化必携の3つのキーとは

2023.04.29 |

Excelで業務改善だなんて大げさだな。

 

 結局は表計算ソフトでしょ、四則演算とグラフを作ったりはできるけど、本格的な業務改善となると、専門のソフトウェアには敵わないんじゃないの? そんな風に思われている方もいるかもしれません。Excelは汎用性が高く実に様々なことが実現できるのですが、それがかえって「何ができるのか」が分かりにくい一因にもなっています。

 そこで、弊社Excelセミナーをご受講いただいた受講者様にインタビューご協力いただき、お仕事の現場でのExcel活用エピソードを教えて頂きました!

 

お話を聞いた人:

綿引一夫さん(学校法人神奈川学園 精華小学校 教諭)

──こんにちは、よろしくお願いいたします。

 

よろしくお願いいたします。

僕は教師なので、データ集計などでExcelを使うことはないのですが、参考になりますでしょうか?

 

──是非お聞かせください! Excelのどのような機能を良くお使いになりますか?

 

やはりVLOOKUP関数と、それからWordと組み合わせた差し込み印刷ですね。特に差し込み印刷がむちゃくちゃ便利です。そのためにいろいろな情報をデータベース形式(※1行に1データを入力する表形式)で入力しておくことがとても大切で、差し込み印刷以外にもいろいろなところで活用できています。すごい改善さんの提唱する「データベースファースト」は本当に大切ですね。

 

──VLOOKUP、データベースファースト、差し込み印刷が事務効率化のキーなのですね。

 

そうだと思います。僕はその他にもFILTER関数など便利でよく使います。

1年の中で一番Excelを使うのは受験(6年生の中学受験)の時期です。児童一人一人の受験日や合否の情報を管理するのですが、教員になった2010年頃は、まだまだ手書きで処理することも多くありました。間違えないように表の管理をすることはとても気を使うし大変です。ですが、年に1回の作業なので、面倒なやり方のまま何とかやってしまいました。それで受験シーズンが終わったら、喉元過ぎればじゃないですけど、その大変さを忘れてしまうんですね。

 

このやり方は効率が悪く、何とかしよう、と思いつつ、僕自身も実際に業務改善に手をつけることができなくて、また次の年になって「またこの季節か……」と。表を更新していくのは労力を伴います。それで自分なりに試行錯誤を始めた頃、すごい改善さんのセミナーのことを知りました。講師の吉田さんが実務で困っていたことからスタートしたというところが良いなと、受講を決断しました。講義はいろいろなトピックをバーッと凝縮した形でやってくれて、とても面白かった。自分でも業務改善をやってみよう、と思えました。

 

──お困り事、学校という場ならではですね。具体的にどんなことに取り組まれましたか?

 

中学受験期は、どの学校に誰が受けにいっているかを正確に把握することが求められます。プリントアウトをして管理していた時期は縦軸を学校名、横軸を日付にした表を作って、変更や追加があると手書きで書き加えたり、蛍光ペンで色を塗ったりしていました。紙しかない時代はそれで良かったのかもしれませんが……。最初はこの書式をそのままExcelにすることを試みました。でもせっかくデータをExcel入力するようになっても、この形式の表に直接入力するのでは、他のことに応用しにくいんですよね。だからその書式で作りつつ、もっと便利になるように新しいフォーマットを考えました。

 

──新しいフォーマットは、以前のものに比べてスッキリしていますね!

 

情報を整理すると、今までの表にこだわる必要がないことが分かってきましたので、学校別、試験別に受験状況が把握できるような書式にしました。入力も、表に直接入力するのではなくて、データベース形式の入力用シート(INPUT)に一度入力すれば、このシートや他の書式にも反映されるように工夫しました。児童一人ひとりの受験スケジュールと合否表も、VLOOKUP関数などを使ってすぐに表示できるようにしてあります。

 

児童のデータ、受験校のデータなども、毎回入力していたのでは手書きとほぼ変わりません。漢字の変換間違いや全角/半角の入力ミスなどもありますし。新しいフォーマットでは、児童の情報は出席番号をキーにしてVLOOKUPで引用できるようにしました。学校データも同様です。学校データを入力したり、それぞれの試験日程ごとに情報を入力したりする作業は受験本格化する前の12月に行いました。今年は大変でしたが、来年以降は今年のものを更新する形で運用できるので、「前向きな怠惰」が実現できそうです。

プリントを児童の名前入りで印刷するために作成したVBA

 

ちなみに普段の業務では、校務支援ソフトも使用しています。しかし、現状では100%活用しきれているとは言えません。その大きな要因は、ソフトを使う僕たちが、データをデータベース形式で入力することに慣れていないからなんです。どうしても見やすい表の形で作ってしまう傾向があります。はじめにデータベース形式で入力していないから別のところで活用しきれない。勿体ないと思うこともありますが、徐々に改善していければとは思っています。データベース形式での入力に慣れてきて、少しずつ校務支援ソフトも上手に活用していきたいです。

 

──VLOOKUPとデータベース形式の連携はどんな環境でも大切ですね!

 データベース形式は差し込み印刷にも活用されているのでしょうか?

 

はい、差し込み印刷は本当にいろいろなところで使います。児童に個別に配布する賞状や、宛名などで使用しています。セミナーを受けた後は簡単ですがマクロを組んで、授業内で配布する教科のプリントに児童の名前を入れ、座席順に印刷することにもチャレンジしました。Excelだけでの差し込み印刷です。そうすると、プリント紛失がなくなりました。また、欠席した児童へのフォローもより明確にできるようになりました。

 

差し込み印刷は、一度使えるようになるとどんどん使うようになる機能なので、校内でも使う人が増えてきました。たとえば本校では毎朝各ご家庭で検温していただき、所定の時刻までにGoogleフォームで送信していただいています(2023年3月で終了)。それを養護教諭がとりまとめて、フォームが提出されていない児童の下駄箱に「保健室で検温してください」と張り紙をするのですが、それも差し込み印刷でできるようになりました。

 

──差し込み印刷できるようになる前は……?

 

……手書きでした。毎日20人前後でしょうか、Googleフォームのデータを集めたスプレッドシートを見ながら、一人一人の名前を手書きで書いていたそうです。とても大変そうだったので、スプレッドシート上のデータと児童全員のデータと突合できるようにして、フォーム未送信の児童の名前を差し込み印刷できるようにしました。養護教諭の先生はさらにスプレッドシート用のGAS(※Google Apps Script。Googleスプレッドシート上で自動処理するためのアプリケーション)も、インターネットで調べながら取り入れて、フォームの自動開閉機能などもつけたりと、どんどん改良していきました。

 

──それはとても大きな業務改善ですね!

 

はい。GoogleスプレッドシートもExcelに似ていて便利ですね。同じファイルをリアルタイムに共有できるところが良いです。Google スプレッドシート、Excel、校務専用ソフト、それぞれ得意なことがありますから、柔軟に使い分けていきたいです。

 

改めて感じましたが、学校で扱うデータって、ほとんどが表なんです。縦軸があって、横軸があって……時間割のような表組です。何かの係を決める時も、最初に表を作ってしまって、そこに誰がやるのかが決まったら書き込んでいくんですね。表に直接入力して、修正したり上書きしたり、とやっていると、必ずと言っていいほど間違いが発生します。だから遠回りなようでもデータベース形式での入力が大事であること、VLOOKUPで引用できること、他の関数も便利なこと、あと差し込み印刷が最強なことを少しずつ浸透させていきたいです。旗振り役というほど目立ったことはしたくないですけど、自分の周りから少しずつ広がっていけばいいなと思います。

今年度の受験の時期に活躍したExcelファイル(個人情報保護のため低画質)

 

学校の現場でExcelが活用できることはまだまだあると思います。面談のスケジュール表ですとか、会計や集金に関することですとか……インターネットで見つけたフリーのExcelソフトで、席替えが簡単にできるものなんかもありますよ。視力の都合で前の方の席がいい子だとか、そういう細かな条件は指定できないので、まだまだ改善の余地がありそうです。

 

──素晴らしい取り組みを、着実に進めて来られたのですね。

 

できることはまだまだたくさんあると思います。

 

学校で扱うExcelデータは、児童の人数分くらいしかありません。本校は1学年80名なので、データ数は480程度でしょうか。ですから大企業が扱うような何万行というデータの活用とはかなり違うと思います。データの扱い方も、売上や費用の集計といったものは殆どありません。だから、手書きや手打ちでもなんとかなってしまっているところはあります。でも、そんなところに業務改善の余地があると思っています。

 

でも、Excelに苦手意識をもっている場合は、なかなか人に聞きにくいと思うんですよね。聞いた時に「そんなことも知らないの?」って返されるのが怖くて聞けない……学校の先生はメインが授業や児童とのやりとりなので、Excelを1回も開かない日もあるんです。「効率が悪いなぁ」と思いながらも、まぁいっかと目をつぶってしまうんだと思います。でも、そこで止まらないでちょっと頑張れば、楽できる方法があるんだよ、というのを伝えたいです。

 

私自身は、Excelは社会人になりたての頃から使ってきました。本を読んだりインターネットで調べたり、ずっと独学でやってきましたが、セミナーを受けたことで、「仕事でExcelが使える」とはどういうことなのか、大体の方向性を理解できたと思います。自分がやろうとしている方向性は間違っていないんだな、と思えるようになりました。これからも少しずつ、できる範囲でできることを増やしていきたいと思います。

 

──貴重なお話をありがとうございました!

 

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児童の下校を見守る

 

途中、養護教諭の先生までお招きいただき、業務改善のインパクトを熱く語っていただきました。インタビュー中に何度も仰った「もっと楽にできるはず」「効率よくできるんじゃないかな」というキーワードは、弊社の「前向きな怠惰」そのもの。

Excelを通した業務改善で事務作業が減り、先生方が子供達としっかりと向き合える時間が増えたら、それはとても素敵だなと思ったのでした。

 

綿引さん、ご協力ありがとうございました!

 

 

 

 

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